Solana メインネット バリデータ運用時の注意点

はじめに(このページの目的)

Solana におけるバリデータは、単に自分自身のノードを運用する存在ではなく、
Solana チェーン全体の品質そのものを構成する重要な要素です。
すべてのバリデータが高品質に稼働することで、
  • トランザクションは速く処理され
  • ブロック生成は安定し
  • チェーンは止まらず
  • ユーザー体験(UX)は向上します
その結果、Solana チェーン全体の信頼性が高まり、
さらに多くのユーザーとユースケースを呼び込む正の循環が生まれます。
また、これは「ネットワークへの貢献」だけの話ではありません。
パフォーマンス指標はステークプールの評価やさまざまな評価に実際に影響し、
高品質なバリデータ運用は、結果的に運用者自身にもメリットとして返ってきます。
SLV を使えば、Solana バリデータは比較的簡単に立ち上げることができ、
OS 内で実施できる基本的なパフォーマンス設定も自動的に行われます。
しかし、それでも 実運用で安定したパフォーマンスを出すために、運用者自身が理解・確認しておくべきポイント が存在します。
このページでは、特定の事例に依存せず、
すべてのメインネットバリデータ運用者に共通する注意点を整理しています。

マシンスペックの確認(公式要件ベース)

メインネットバリデータでは、
「起動できる最低限」ではなく、混雑時でも安定稼働できる構成を前提に考える必要があります。
以下は Solana / Agave / Firedancer の公式ドキュメントを元に整理した目安です。

Agave Validator(公式要件・推奨)

SOL 要件
  • 厳密な最低 SOL 要件はありません
  • Vote Account に rent-exempt として 0.02685864 SOL が必要です
  • 投票トランザクションにより 最大 ~1.1 SOL / 日 のコストが発生します
ハードウェア要件(目安)
ComponentValidatorRPC Node(参考)
CPU2.8GHz 以上 / AMD Gen3+ / Intel Ice Lake+ / SHA extensions / AVX216 cores / 32 threads+
RAM256GB+512GB+
DiskNVMe Gen3 x4 以上 / Accounts / Ledger / Snapshots 分離推奨より大容量推奨
GPU不要不要
Note:
コア数よりもクロックと実効スループットが重要とされています。

Firedancer(Frankendancer)

Firedancer(Frankendancer)は現在 Agave に依存するため、
少なくとも Agave の推奨構成以上が前提となります。
Minimum
  • 24-core CPU @ >2.8GHz
  • 256GB RAM
  • 2TB NVMe(High TBW)
Recommended
  • 32-core CPU @ >3GHz(AVX512 対応)
  • 512GB RAM(ECC)
  • Accounts / Ledger 分離
  • 1Gbps 以上のネットワーク帯域
参考資料:

BIOS レベルでの CPU Turbo / Performance Boost 設定を忘れないこと

最も重要かつ、最も見落とされやすいポイントが
BIOS レベルでの CPU Turbo / Performance Boost 設定です。
多くの環境では
「デフォルトで有効になっているはず」と思われがちですが、
BIOS で無効になっているケースは実際に存在します。
CPU Turbo が有効でない場合、
  • CPU の実効性能が想定より低下し
  • ブロック生成が遅れがちになり
  • ブロックタイム悪化が観測される可能性があります
ブロック生成が遅いバリデータは、
多くのステークプールや Solana Foundation のプログラムにおいて
ペナルティ対象となり得ます。

BIOS 設定確認の概略

BIOS の UI はベンダーにより異なりますが、
一般的に以下の項目を確認します。
  • CPU Performance Boost / Core Performance Boost
  • Turbo Mode / Turbo Boost
  • Performance Profile(Power Saving ではなく Performance)
SLV は OS 内で動作するツールであり、CPU governor や pstate などの OS レベルの設定を扱いますが、BIOS やファームウェア設定を変更することはできません。
Note:
BIOS 設定は OS から確認できません。
新しいサーバーを使う時や初期セットアップ時には、BIOS 設定の確認を必ず手順に含めてください。

Kernel バージョンの確認(6.8.0 以上を推奨)

Solana バリデータでは、Linux カーネルも重要な要素です。
2026年1月現在、Kernel 6.8.0 以上 が推奨されています。
Solana ワークロードにとって重要なアップデートが実際に2件含まれています。

確認方法

bash
uname -r # 6.8.0-71-generic
Note: カーネルは普段意識されにくい要素ですが、 CPU スケジューリングや I/O に直接影響します。

CPU の設定について確認(OS レベル)

BIOS だけでなく、OS レベルの CPU 設定も重要です。
以下の項目が すべて performance 状態 であることを確認してください。

Energy Performance Preference(EPP)

bash
cat /sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/energy_performance_preference # performance

CPU governor

bash
cat /sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/scaling_governor # performance

amd_pstate(AMD CPU)

bash
cat /sys/devices/system/cpu/amd_pstate/status # active
Note: これらが満たされていない場合、 CPU が省電力寄りに動作し、性能が十分に発揮されない可能性があります。
SLV ではこれらはデフォルトで設定されますが、
意味を理解し、自分で確認できることが重要です。

このページで伝えたいこと

ここに書かれている内容は、
  • 特別なチューニング
  • 一部の上級者向けノウハウ
ではありません。
善意で運用していても、
見落としによって性能が低下し、意図せずペナルティ対象になる
そうした事態を防ぐための、最低限かつ本質的な確認事項です。
これらを事前にチェックすることで、
  • 高品質なバリデータ運用を実現し
  • 不必要なトラブルを回避し
  • Solana ネットワーク全体の品質向上に貢献できます
このページを、実運用のチェックリストとして活用してください。